「クリスマスの雪景色」

城野すえみ(じょうの・すえみ)

すえみさんは、どんぐり村のレストランで食器を洗うお仕事をされています。多くの食器を洗うのは、とても大変なお仕事です。ホームに帰ると夕食を食べ、お風呂に入りバタンキューと寝てしまう毎日です。そんなすえみさんの大好きな趣味は、絵を描く事です。週一回軽作業班に来て絵を描く時は、周囲の雑音も気にならないほど集中されています。季節のイメージイラストから、すえみさんの世界が広がっていきます。きれいな色が大好きなすえみさんの不思議な世界な絵。展示されることは、恥ずかしいと話されていますが、嬉しそうな笑顔をされています。すえみさんの不思議な世界に足を止めて頂けましたら、幸いです。(文・山口直美)


昭和27年(1952年)10月20日生まれ。佐賀県佐賀市で生まれ育つ。

20代までは実家のある佐賀市久保泉町川久保で過ごす。その後、職業訓練所などを転々とし、現在は佐賀市大和町のグループホームで暮らしながら、平日は佐賀県三瀬村のテーマパーク「三瀬ルベール牧場 どんぐり村」に所属し、園内のレストランで仕事をしている。

平日の仕事から帰ったあとや休みの日に、主に絵の具を使って山や森、湖などの風景画を描く。休みの日には画板を持って出かけ、朝8時から日没まで、現地に赴いて集中して風景を描き、だいたい一日一作のペースで制作する。こうした風景画の制作は中学の頃から一番の趣味として継続しており、また制作ペースも早いため、家にはたくさんの作品が保管されている。しかし展覧会などに作品を出展した経験はあまりなく、本人は機会があればもっと発信していきたいと考えている。

今回出品されているような色鉛筆による作品は上記のような個人的に制作したものとは異なり、週に一度、どんぐり村の「軽作業班」での仕事として制作している。こうした色鉛筆による制作は、だいたい10時間ほどで完成する。どんぐり村での制作は基本的に室内で行っており、「クリスマス」など季節のイベントに合ったテーマの画像をモチーフとしてプリントアウトし、それと頭の中のイメージを混ぜ合わせて制作を行っている。完成した絵は園内の飾りのひとつとして、「どんぐり村」に来たお客さんに見てもらえるよう、園内の様々なところに展示される。

城野にとって、地元・川久保の実家からよく自転車で通っていた、大きな湖とダムの景色が何よりのお気に入りスポットであり、よく自身の絵の題材として登場する。「マリンブルーみたいな透明な水が流れ移ろっていく様子を見ていると、心が和んだり、浄化されたような気分になる」と城野は語る。