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草場 宏和(くさば・ひろかず)

普段は、PCを通して作品を制作されているが、現在はスケッチブックを通しての作品が多くなっている。主に、事業所が休みの時に描かれたり空いた時間に作品制作に取り組まれているようだ。作品のキャンバスがPCからスケッチブックに代わっても彼の作品は、とても繊細で1つ1つがきめ細かく描かれている。見れば見るほど、彼の作品に吸い込まれそうになる。実際、彼の作品は作品展にて絵画部門で金賞に輝いている。それが、一種のモチベーションにつながっているのかもしれない。これからも、多くの方に作品を堪能していただけたら彼の喜び・生きがいにつながると思う。(文・松永麻友子)


昭和41年(1966年)11月6日生まれ。佐賀県神埼郡吉野ヶ里町出身。

2018年5月より「社会福祉法人楠の木会」の就労継続支援B型「楠の木園」に所属し、同法人のグループホームに入居している。

草場さんは精神障害で楠の木園に入る以前は一般の電器店で働いていた過去があり、以前よりWindowsパソコンに標準搭載されているペイントソフトで絵を描いていた。最近は休みの日に自室でスケッチブックと鉛筆でのスケッチに取り組んでいる。題材は海外の観光名所や自動車、アニメのロボットやキャラクター、歌手などさまざまで、見本となる画像は図書館の本やコンビニのチラシ等から自分で題材を見つけ、プリンターを使用して印刷する。お城や自動車のような複雑な形のものでも丹念に細部まで描写していく。真面目で繊細な性格の持ち主で、手を抜かずに時間をかけてゆっくりと描いていく。

周りの人思いで、重い荷物があったり、他の人が困っていると率先して手助けする優しい一面がある。また、スタッフ以上に電気系のことに詳しいため、事業所でパソコントラブルなどがあるとすぐに頼りにされ、欠かせない存在となっている。また、本人に趣味を聞くと「特にない」と答えるが、散歩や絵を描くこと、気の合う人と話すことは好きなようで、休日に描いた絵をスタッフにプレゼントしてくれることもあるという。

「楠の木園」は、B型事業所では珍しく、毎日の作業のほかに毎週金曜の昼頃より「絵画時間」を設けて、油絵を中心とした創作活動に取り組んでいる。この「絵画時間」で初の油絵に挑戦し、神埼市の九年庵を描いた草場さんの作品「秋のかやぶき屋根」は、「第19回佐賀県障がい者文化芸術作品展」(2019年)で金賞を受賞した。現在は油絵の2作目として、来年の作品展に向けてお城の風景画を制作している。