「夢の国」

西村 嘉浩(にしむら・よしひろ)

4 人兄妹の末っ子である彼は4月に1番乗りで社会人となった。保育園での仕事は、清掃が主なようだが、園児さん達との関わりで日々成長しているようだ。学生時代より忙しくなった今でも気がつけば、ポスターの裏に楽しそうにペン(ポスカ)を走らせている。
『園長先生や園児さんにぼくの絵をプレゼントできたらいいな』今はそれがモチベーションになってるのかなと思う。
明るい色が大好きで、大抵の絵にはハートと笑顔マークがどこかに仕込まれている。
御覧のみなさんがハッピーな気持ちになってもらえます様に。(文・西村賢二)


嘉浩は佐賀大学教育学部附属特別支援学校を昨年卒業し、現在は“保育園ひなた村自然塾”に勤務している。小学生の頃から空手をやっており、今も通っている。水泳も行っており、トロフィーなども持っている。兄2人、妹1人の末の子であり、私の質問に対しても満面の笑みで答えてくれた。小さい頃から絵を描くのが好きで暇があっては描いていた。絵をこれからも描き続けたいと話していた。はーとあーと倶楽部という芸術活動を行うクラブに在籍している。

制作は家で行うことが多く、彼の作品はポスターの裏紙等にPOSCAで描かれる事が多い。いくつかの作品を同時進行で制作していき、調査に行った時には10枚以上の作品を制作していた。また、描く順番も決まっており、季節事に描く作品が決まっている。そのためか一枚を描き上げるのに数ヶ月や1年間などかかってしまうこともある。下書きは基本描かずに感覚的に描いていく。彼の好きな金色やピンク色等がモチーフや背景を埋め尽くし、その色彩の豊かさが視覚的に楽しませてくれる。また、そこに描かれるモチーフは占いに行った時に言われた不動明王を描いたりなど、その時見たものや体験したものを描く事が多い。

最近では鬼滅の刃などのキャラクター等も描く。また、絵だけにはとどまらずに自らのPVなどの映像作品や段ボールとポリバケツで作った自作の太鼓など多岐に渡って制作を行なっている。実際にその太鼓を使って外で演奏をしたりなど表現の幅が多い。自分の描いた絵をTシャツにしたりなどもしている。

人を笑顔にするような絵を描きたいと言っており、幼稚園にいって園児の喜ぶ星やリンゴ、恐竜、カマキリ等のモチーフを描く事が多い。彼の中でカラフルな色を使っている事に意味は無く、自分の好きな色を直感的に配置している。

やりたい事がたくさんあり、画材などもPOSCAだけではなく絵の具やペンにも挑戦してみたい。また、個展をやってみたいらしくそのための家を購入したい。「たくさん夢が溢れて爆発しそう」と顔を煌めかせて語っていた。(文・山田寛太)