牛島 伶(うしじま・りょう)
この世には、二種類の人間がいる。夢を追うものとそうでないもの。そう、彼は夢を追うものの一人である。
幼いころから描き続けてきた唐津くんちの曳山。昨年に続き、今回も大好きな曳山の作品を制作しました。
彼の夢は画家になること。画家を目指すようになったのは、毎日忙しく働いているお母さんを見て、「少しでも楽にしてあげたい、自分の絵を売ってその手助けをしたい」と考えたからです。そんな心優しい彼の作品をどうぞご鑑賞ください。(文・南里康弘)
平成11年(1999年)2月27日生まれ、佐賀県唐津市出身。
県内の特別支援学校を卒業後、現在は多久市のB型事業所「福祉作業所ありがとう」に所属。
地元・唐津で毎年開催されるお祭り「唐津くんち」を幼い頃より毎年欠かさず家族と一緒に観に行っており、現在住んでいるグループホームの自室には唐津くんちに関する本やDVD、自分で描いた曳山の絵などがたくさん置かれている。牛島自身もこのお祭りが大好きで、これから修復される曳山のことなど、常に最新の情報を追っている。また、バルーンや戦隊モノも愛好する趣味人であり、休日は創作活動やTVゲーム、アニメ・映像鑑賞など、さまざまな娯楽に囲まれ充実した生活を送っている。
平日の日中は主に室内清掃等の仕事をしており、創作活動に取り組むのは、仕事から帰ったあとや休日の余暇の時間である。作風は一貫しており、色鉛筆やペンを用いて、素朴な線で生き生きとした曳山の絵を描く。制作と他の娯楽とを同時並行で行うことはせず、制作時はしっかりと腰を据えて描くことに集中する。時間や場所に関わらず、マイペースで黙々と描いていく。
幼い頃から何度も何度も繰り返し同じ題材を描いてきたため、現在では実物や資料をまったく見ずに生き生きとした全14体の曳山を描くことができるようになった。現在は、自分で描いた絵を人にプレゼントして相手の喜んだ顔を見ることも本人にとって1つの楽しみになっている。
家族への愛を恥ずかしがることなく口にする牛島にとって、年一回、母親とともに「唐津くんち」に出かけることは、絶対に欠くことのできない恒例行事である。新型コロナウィルスの影響で令和2年の曳山巡行が初の中止となったことを非常に残念に感じており、「来年コロナが収まったらお母さんとデートしたい」と周囲にもらしている。