末次 順一(すえつぐ・じゅんいち)
彼の絵の魅力は、他人とは違う独自の感受性で描く、唯一無二の順一アニマル。特に今回描いたうちのワニには強い思い入れがあるのか描いた際本人も満足気な顔をしていました。
少しの変化にも敏感に反応し、パニックになることがあります。元気すぎる彼ですが絵を描く時はとても静かで落ち着いています。でも絵の中は彼のように元気いっぱいです。これからも彼の道を楽しく突き進んでくれたらいいなと思います。(文・末次貴子)
絵を描くのがとても好きで、幼稚園の頃から作業の合間合間に描いていた。その時に思ったものや心に残ったものを思い出して描く事が多く、家族でドライブに行った時に見た看板の文字やテレビのコマーシャルなどを描く事が多い。白い紙一面に敷き詰められた文字の羅列から元の単語が何であったかを推測したり、まるでクロスワードパズルのようである。。画材はペンや鉛筆が多く、その時にあるもので描く事が多い。また、今年はコロナの影響で外出があまりできなかったために昔の思い出を思い出しながら描く事が多い。また、それ以外にも動物がモチーフとして描かれることも多く、独特なタッチで描かれた動物達は各種の特徴が強調して描かれており、クマであれば耳が大きかったりトラであれば顔の模様など見るものを楽しくさせる。
一方で自分が気に入らないと思ったものは黒く塗りつぶされており、その当時の彼の感情の記録が残されているようにも思えた。このように、彼にとっての絵を描く行為は頭の中の整理や心の安定にも繋がっているように思える。
紙に自らの欲求を描く事も多く、家族でバーベキューに行った時などに自分が食べたいものや持っていきたい物を紙に描いたり、カラオケに行けなかった時に好きな歌の歌詞を書いたりする。
失敗する事が苦手な性格らしく幼稚園の頃などは人のマネをして描いたりしていた。そのために色を塗る事が苦手であり、動物の絵などもほとんど塗り潰す形で色塗りをされているものが多い。彼にとって絵を描く事は多くの意味を内包しており、心の安定、頭の中の整理や自らの意思表示、逆に失敗する事へのストレスにもなり得る。であるからこそ絵を描く事は彼にとってはければならないものであるのかもしれない。
彼本人としては作品を作っているという自覚はないかもしれないがそのユニークなタッチは私達を楽しませてくれる。彼の思考の断片を覗くことはある種の貴重な体験なのかもしれない。(文・山田寛太)