千住 富美枝(せんじゅ・ふみえ)
彼女は、カエルが大好きである。なので、彼女の作品には多くのカエルが描かれている。1つ1つが、とても可愛くて作品自体がカラフルである。作品のペースは、ほぼ毎日で作業の合間だったり休みの時に描かれている。カエルの他にも、骨や花、星を描かれおりそれぞれに独特の雰囲気が醸し出されている。それは、彼女だからできることであり唯一無二である。見ているこちらの気分を明るくしてくれるだけでなく彼女自身も作品に向き合うことで、気持ちの整理がつき前向きな気持ちにつながっている。(文・松永麻友子)
昭和39年(1964年)8月5日生まれ。佐賀県佐賀市田代出身。
現在「社会福祉法人楠の木会」の就労継続支援B型「楠の木園」に所属し、佐賀市川副町大字福富に所在する同法人のグループホームに入居している。
周りの人が困っていると手助けをする優しい性格である。人と話すことが好きで、仕事の昼休みはスタッフに会いに行ってお話したり、休日はグループホームのリビングで他の入居者とお話したりする姿が見られる。
創作は自室での中心的な余暇として毎日行っている。プリント用紙にボールペン等を使い、素朴で気楽なタッチで、星マークやお花、ぽわんとした笑顔のカエルなどを記号的に描く。筆の進みは速く、B5の小さな紙に小さくびっしりと☆マークで埋め尽くされた作品であっても、だいたい10分ほどでパパっと描いてしまう。多い時で、1日に5枚ほどのペースで描く。お気に入りのペットボトル入りのカフェオレを飲みながら、制作に取り組んでいる。
千住さんは、描いた絵を支援者の松永麻友子さんに毎日プレゼントしているという。松永さんが「かわいいね!」などと反応すると、千住さんは「また描いてくるね」と言ってニッコリと笑う。このコミュニケーションが千住さんにとって制作のモチベーションの一つとなっていると思われる。松永さんは、これまで千住さんからもらった絵を大事にファイルにコレクションしており、今回出品されている作品はその一部である。